朝、猫がいると家族が騒いでいるので見に行ってみると、庭の畑の一角にある野菜を寝かせておくための小さな穴があり、毛布と屋根をかぶせてあるのだが、そこに真っ黒の子猫がうずくまっている。おいと呼びかけてみても返答がない。
冷蔵庫からしらす干しを一握り持っていって猫の付近にばら撒いてやると、その一部が猫の体にあたりビックリしたようにふわっと顔を上げた。目が片方、どこかにぶつけたのか半開きのままである。一瞬こちらを見ただけで、すぐにむしゃむしゃとしらす干しを食べ始めた。水も要るかと思い、持っていってやると「にゃあ」と鳴いた。
母親によるとその後間もないうちにどこかにいってしまったそうだ。